河内長野野作

 
姿見前後
大屋根周り 拝懸魚:鳳凰
中国の伝説の鳥。孔雀に似ているが、背丈が4〜5尺はあり、麟(りん)・亀・竜とともに四瑞として尊ばれた想像上の霊鳥その容姿は、前は麟(りん)、後ろは鹿(しか)、頸(くび)は蛇、尾は魚、背は亀、あごは燕(つばめ)、くちばしは鶏に似るといわれる。羽が5色で、梧桐(ごとう)に宿り、竹の実を食べ、醴泉(れいせん)を飲むと伝えられ、聖徳の天子の兆しとして世に現れるとされる。鳳は雄、凰は雌という。  

隣懸魚:松に鷹
柱巻き:平景清の綴引 (しころびき)
源平合戦の時、平家の武士悪七兵衛景清と源氏の美尾屋十郎国俊とが一騎打ちの勝負をした折り十郎が太刀を打ち折られて逃げ出すのを景清が逃がしてはならないと熊手を十郎の兜の綴に打ちがけたがいに引きあっていたが、遂に綴の糸が切れて、からくも逃げたという伝説があります。その時十郎が『景清の腕の強さよ』とほめ、景清は『十郎の首の強さよ』といって互に称賛し罵いたと伝えられています。

板勾欄正面:敦盛呼び戻す 熊谷次郎直実
板勾欄左平:粟津の合戦 勇力巴御前
 木曽義仲の愛妾巴御前は色が白く容顔美麗でありながら、一騎当千のつわものであった。粟津合戦のさなか、最期の一戦に臨んだ義仲に女であると巴は落ちて行けと命じられる。巴は最後の奉仕にと、そこへ現れた恩田八郎と組、その首を馬の鞍の前輪に押し付けねじ切り東国の方へ落ちていった。
板勾欄右平:宇治川の先陣争い
後白河法皇の命を受け、義経軍は宇治川をはさんで義仲軍と対峙(たいじ)した。義経は『この度の合戦に手柄をたてた者の名前を書き留めよう。また、あっぱれ宇治川を渡る者があれば、敵に射さすな』と命令すると、名馬麿墨(するすみ)にまたがった梶原源太景季と主君の源頼朝から愛馬生喰(いけづき)を拝領した佐々木四郎高綱が先陣を争います。高綱はこの合戦にぜひとも名を挙げげねばならぬ、どうかして勝ちたいと考えました。そこで高綱は『梶原殿、馬の腹帯が緩んでいるようだ』といったので、謀られたとは知らず景季は腹帯を引き締めている間に高綱は追い越して対岸に跳びあがり、『佐々木四郎高綱、宇治川の先陣仕奉った』と名乗りをあげた。
三枚板右平:大己貴命(おおあなむちのみこと)後の大国主命大鷲退治
三枚板左平:天竺(てんじく)の班足王(はんそくおう)獅子遊び
三枚板正面:漢の高祖(劉邦りゅうほう)の龍退治